弥太郎のよしなしごと

21歳の大学生がお送りする駄文

友人F

 どうやら信州に住んでいる友人Fが断食を始めたそうだ。人は7日間何も食わなければ餓死するというが、この言説に対して、彼は10日くらいなら行けるだろうということで検証してみようというのである。何も自分の身を持って実験するほどのことではないだろうと思うのだが、とにかくやってみせると宣う彼。今日がその3日目だという。

 面白半分でこの間名古屋で食べたあつた蓬莱軒のひつまぶしの写真で飯テロをしておいたが、まったく意に介さずといった感じであったからそれなりの覚悟があるのだろうか。

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 思い返すと彼は昔から変わった奴だった。

 中学2年生のころ京都に修学旅行に行ったのだが、2日目の朝時間通りに彼が宿の玄関に現れず、部屋にもいないということでちょっとしたパニックになっていた。私は隣のクラスであったから、対岸の火事であったが、彼と同じ班の班員はこのままでは出発できないと大慌て。 

結局、彼は部屋の押入れで眠り続けていたのであった。ドラえもんの気持ちが知りたくてとか言って。しかし、当時の担任にかなりの大目玉を喰らっていた。

大学に入った今も、大学のある長野県から東京の実家まで自転車で帰ったりしているから彼の変態生は健在である。

 昨年金沢に旅行に行った。中高の同期で私がパッと思い浮かんだ人間を誘って決行した無計画な旅だった。東京に住む私たち数人が車で松本駅で友人Fを拾って、金沢へ。

 金沢に行って最初に向かったのは百円ショップだった。同行の友人の1人が下着を持ってくるのを忘れた。金もないから100均に売っているような物で構わないとのことで最初に赴いたのだ。なんとなく手持ち無沙汰でおもちゃコーナーを彷徨いていた時サイコロを発見した。誰からともなくちんちろをやりたいと言い出したためにサイコロとお茶碗を購入。旅行中、会計のたびにサイコロの目で誰が奢るか決めようと......

 

 ふとこれを書きながら賭博って方で禁止されていたなあと思い調べてみたが、どうやら一般的な娯楽のために消費されるもに、一時の議楽を供するものをかけることは罪にならないそうである。そこには飯の奢りをかけるといったことも含まれるそうである、

 安心、安心。不用意に後悔してそれが炎上なんてしたらたまったもんじゃないですからね。ネットリテラシーが高くてよろしい。リスク管理もグッド。

 

 さてさてそんな経緯で突如始まったチンチロ旅。確率は収束するもので大勝ちしたものもいなければ大負けしたものもいなかった。強いていうならば私が一回の会計で一万円近く飛ばしたくらいか。脳汁は出たが、いざ文字化しようとすると当時の興奮はうまく表現できないものである。まあ楽しかったなあという自己満足な回想である。

 酒屋で日本酒をしこたま買い込んで宿に向かった。宿は金沢から遠く離れた能登地方、和倉温泉であった。5人の旅であったにも関わらず、観光シーズンでもなかったためか、大広間を客室として使っても良いというご厚意。温泉に食に色々と楽しんだ。

前日終電までバイト、そこから朝まで車で移動というハードなスケジュールのために疲労がピークに達しており、酒を少し飲んだところですぐに眠ってしまった。

 

 翌日目覚めると友人たちが大慌てしていた。いや、その騒ぎに起こされた。友人Fが泥酔してハンガーラックを小便器と勘違いしたという。唖然である。

 謝り倒し、清掃費を払って事なきを得たそうであるが(私は眠気覚ましで朝風呂にいっていた)、本当に迷惑どころの話でない。

 

 正月の能登地震で宿のあたりは大きな被害があったそうだ。テレビを見ていると当時宿泊した旅館の女将がテレビのインタビューに答えていた。また観光客が戻りはじめたくらいのタイミングでたくさんお金を使いに行くというのがせめてもの罪滅ぼしだろう。いや、別に私は寝ていただけで例の奇行に加担したわけでもなく、償う罪もないのだけれど。なんとなくうっすら感じる罪悪感。

 

 友人Fと宿...騒ぎの絶えない組み合わせである。

 宿関連の話を挙げるともう一件あるのだが、この件はいつか気の向いたときに書くかもしれない。